Nature ハイライト
がんの代謝:2種類のKras肺がん
Nature 531, 7592
多くの高悪性度腫瘍(あまり分化が進んでおらず増殖が速い傾向にある腫瘍)は、変異型Krasのコピー数が増加しているが、この変異型コピー数の増加が悪性度や治療応答性に影響するのどうかは不明である。C Martinsたちは今回、KrasG12Dコピー数の異なるKras変異細胞は、表現型も異なることを明らかにした。変異型Krasコピー数の増加は、新たなブドウ糖代謝の特性を誘導し、悪性度を上昇させた。関連する代謝経路のつなぎ替えは、酸化還元制御の亢進を引き起こし、これによって独特な代謝依存性が生じる。著者たちはこの依存性が選択的な標的となり得ることを示している。従って、変異型Kras肺がんは、変異型対立遺伝子の相対的な量に基づく2種類の腫瘍からなっており、これらは代謝プロファイル、予後、治療感受性が異なっている。
2016年3月3日号の Nature ハイライト
がんゲノミクス:膵臓がんのゲノミクス
がんの代謝:肥満を促す食餌の代謝への影響
微生物学:細菌のT6SS構造
構造生物学:BAM複合体の構造を決定
高エネルギー宇宙物理学:宇宙線の質量組成
化学:電気的に駆動される酸化還元触媒反応
進化生物学:初期の脊椎動物の脳を見直す
再生医療:腸神経系の前駆細胞
がんの代謝:2種類のKras肺がん
ウイルス学:コロナウイルスのスパイクタンパク質の構造
構造生物学:翻訳開始因子2Bの構造