Nature ハイライト
Cover Story:エボラを打ち負かす:多種類のウイルスに効果のある抗ウイルス薬GS-5734はサルで有効であり、現在臨床試験が進行中
Nature 531, 7594
表紙は、2014年10月にスペイン赤十字社によってマドリッドで行われたエボラ出血熱に関わる医療従事者のための研修会で使われた後に干してある防護服。今週号では、エボラウイルスなどのフィロウイルスに対して抗ウイルス活性を示す低分子薬GS-5734が見つかったことが報告されている。GS-5734は、エボラウイルスに感染したマカクザルへの曝露後投与で、感染サルの100%を防御することができ、現在臨床試験が進行中である(http://go.nature.com/PEW2Oi)。この薬の標的になるのは、ウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼで、将来の大流行に対して生産拡大が容易なことが分かっている。GS-5734は精巣、眼、脳などの、従来の薬剤が届きにくくウイルスの複製が続く「聖域」にも送達されるので、症状の再燃やウイルス持続感染を一掃することも可能かと期待されている。
2016年3月17日号の Nature ハイライト
ナノスケール材料:半導体ナノワイヤーにおける結晶相の切り替わり
再生医療:細胞再生による視力回復
構造生物学:セルロース生合成のスナップショット
構造生物学:ムスカリン性アセチルコリン受容体M1およびM4の構造
気候科学:全球の気候システムに対する中国の影響
生物地球化学:サンゴに対する海洋酸性化の影響
生物海洋学:摂餌場に集まる海の捕食者たち
神経科学:経験が皮質の抑制を変える仕組み
ウイルス学:B型肝炎ウイルスに対する宿主の制限因子
発生生物学:piRNAによる生殖細胞の指定