Nature ハイライト
発生生物学:piRNAによる生殖細胞の指定
Nature 531, 7594
Piwiタンパク質とpiRNA(piwi-interacting RNA)からなる複合体は、生殖細胞で転位性遺伝因子の活性を抑制している。始原生殖細胞の形成を指定するメッセンジャーRNA(mRNA)と同じく、母系のPiwiリボ核タンパク質(piRNP)は卵母細胞の生殖質へ送られる。今回Z Mourelatosたちは、これらの母系mRNAが、Aubergine(Aub) Piwiタンパク質を含むpiRNPとmRNAの間の塩基対合による相互作用を介して、生殖質内に繋留される仕組みを明らかにした。特定のmRNAが優先的に繋留されるのは、長さがより長いことと関係しているようであり、それはpiRNP結合する可能性のある部位が多く提供されるためであろう。この研究は、トランスポゾン抑制における役割とは無関係な、生殖細胞の指定におけるpiRNAの新たな役割を明らかにするものである。
2016年3月17日号の Nature ハイライト
ナノスケール材料:半導体ナノワイヤーにおける結晶相の切り替わり
再生医療:細胞再生による視力回復
構造生物学:セルロース生合成のスナップショット
構造生物学:ムスカリン性アセチルコリン受容体M1およびM4の構造
気候科学:全球の気候システムに対する中国の影響
生物地球化学:サンゴに対する海洋酸性化の影響
生物海洋学:摂餌場に集まる海の捕食者たち
神経科学:経験が皮質の抑制を変える仕組み
ウイルス学:B型肝炎ウイルスに対する宿主の制限因子
発生生物学:piRNAによる生殖細胞の指定