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生物地球化学:サンゴに対する海洋酸性化の影響

Nature 531, 7594

実験が行われた、オーストラリア・グレートバリアリーフ南部にある疑似環礁ワンツリーリーフ。
実験が行われた、オーストラリア・グレートバリアリーフ南部にある疑似環礁ワンツリーリーフ。 | 拡大する

Credit: One Tree Island Research Station at the University of Sydney

海洋酸性化は、サンゴ礁生態系を脅かすと考えられている要因の1つだが、その影響と水温など他の要因からの影響を切り離すことは困難である。今回、天然のサンゴ礁群集の上に流れ込む海水に水酸化ナトリウムを添加するin situ操作実験が行われた。海洋の化学的条件を産業革命前に近い状態まで回復させると、群集の純石灰化は増進した。これは、現在の石灰化速度は酸性化の影響により、すでに産業革命前の速度を下回っていることを示唆している。海洋酸性化を相殺する地球工学的手法として計画的なアルカリ化が提案されており、今回の研究はその手法が有効である可能性を示唆しているが、その対象は、保護管理下にある入り江や礁湖など小規模な海域に限られると考えられる。

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