Nature ハイライト
生物地球化学:サンゴに対する海洋酸性化の影響
Nature 531, 7594
海洋酸性化は、サンゴ礁生態系を脅かすと考えられている要因の1つだが、その影響と水温など他の要因からの影響を切り離すことは困難である。今回、天然のサンゴ礁群集の上に流れ込む海水に水酸化ナトリウムを添加するin situ操作実験が行われた。海洋の化学的条件を産業革命前に近い状態まで回復させると、群集の純石灰化は増進した。これは、現在の石灰化速度は酸性化の影響により、すでに産業革命前の速度を下回っていることを示唆している。海洋酸性化を相殺する地球工学的手法として計画的なアルカリ化が提案されており、今回の研究はその手法が有効である可能性を示唆しているが、その対象は、保護管理下にある入り江や礁湖など小規模な海域に限られると考えられる。
2016年3月17日号の Nature ハイライト
ナノスケール材料:半導体ナノワイヤーにおける結晶相の切り替わり
再生医療:細胞再生による視力回復
構造生物学:セルロース生合成のスナップショット
構造生物学:ムスカリン性アセチルコリン受容体M1およびM4の構造
気候科学:全球の気候システムに対する中国の影響
生物地球化学:サンゴに対する海洋酸性化の影響
生物海洋学:摂餌場に集まる海の捕食者たち
神経科学:経験が皮質の抑制を変える仕組み
ウイルス学:B型肝炎ウイルスに対する宿主の制限因子
発生生物学:piRNAによる生殖細胞の指定