Nature ハイライト
気候科学:全球の気候システムに対する中国の影響
Nature 531, 7594
気候システムに及ぼす中国の影響が大きくなっているのは、その急速な産業化のためであると考えられることが多いが、変化の大きさの定量化は、依然として扱いにくく難しい。今回B Liたちは、生物地球化学モデルと大気モデルを一連の観測データセットと組み合わせて用い、地域ごとの見積もりとその不確かさを得ている。その結果、産業革命前の状況以降の放射強制力の全球増加量(本質的には、さらなる温暖化)の約10%に中国が関与していることが見いだされた。二酸化炭素は中でも特に大きな温暖化要因ではあるが、メタンと黒色炭素も重要である。大気汚染の主たる原因物質である硫酸塩エアロゾルにはこれらと反対に作用する強い効果があるため、汚染を減らす取り組みの影響は、二酸化炭素の排出削減が同時に実行されないなら、放射強制力に対する中国の寄与を加速する可能性がある。
2016年3月17日号の Nature ハイライト
ナノスケール材料:半導体ナノワイヤーにおける結晶相の切り替わり
再生医療:細胞再生による視力回復
構造生物学:セルロース生合成のスナップショット
構造生物学:ムスカリン性アセチルコリン受容体M1およびM4の構造
気候科学:全球の気候システムに対する中国の影響
生物地球化学:サンゴに対する海洋酸性化の影響
生物海洋学:摂餌場に集まる海の捕食者たち
神経科学:経験が皮質の抑制を変える仕組み
ウイルス学:B型肝炎ウイルスに対する宿主の制限因子
発生生物学:piRNAによる生殖細胞の指定