Nature ハイライト

構造生物学:セルロース生合成のスナップショット

Nature 531, 7594

セルロースは、D-グルコース分子が連なってできた長い直鎖状の多糖で、植物の細胞壁の主要な成分であり、多くのバイオ燃料生産において出発原料となる。今回、細菌のセルロースシンターゼBcsA–BcsB複合体について、基質と結合した状態や産物と結合した状態など、セルロース生合成サイクルのいくつかの段階における構造が、結晶中で酵素を解析するin crystallo酵素学の手法を用いて明らかにされた。また、セルロースに結合したBcsA–BcsBをUDP-グルコースと加温することにより、結晶中でも重合体が伸長することが実証された。これらの構造から、セルロースはラチェット機構によって膜を透過し、それには酵素の重要な「フィンガーヘリックス」の上下動が関係していることが分かった。

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