Nature ハイライト
構造生物学:セルロース生合成のスナップショット
Nature 531, 7594
セルロースは、D-グルコース分子が連なってできた長い直鎖状の多糖で、植物の細胞壁の主要な成分であり、多くのバイオ燃料生産において出発原料となる。今回、細菌のセルロースシンターゼBcsA–BcsB複合体について、基質と結合した状態や産物と結合した状態など、セルロース生合成サイクルのいくつかの段階における構造が、結晶中で酵素を解析するin crystallo酵素学の手法を用いて明らかにされた。また、セルロースに結合したBcsA–BcsBをUDP-グルコースと加温することにより、結晶中でも重合体が伸長することが実証された。これらの構造から、セルロースはラチェット機構によって膜を透過し、それには酵素の重要な「フィンガーヘリックス」の上下動が関係していることが分かった。
2016年3月17日号の Nature ハイライト
ナノスケール材料:半導体ナノワイヤーにおける結晶相の切り替わり
再生医療:細胞再生による視力回復
構造生物学:セルロース生合成のスナップショット
構造生物学:ムスカリン性アセチルコリン受容体M1およびM4の構造
気候科学:全球の気候システムに対する中国の影響
生物地球化学:サンゴに対する海洋酸性化の影響
生物海洋学:摂餌場に集まる海の捕食者たち
神経科学:経験が皮質の抑制を変える仕組み
ウイルス学:B型肝炎ウイルスに対する宿主の制限因子
発生生物学:piRNAによる生殖細胞の指定