Nature ハイライト
光物性:双極子–双極子相互作用
Nature 531, 7596
複数の発色団にまたがる励起子カップリングは、多くのエネルギー輸送過程や光学的過程において非常に重要である。そうしたカップリングは、関与するコヒーレントな分子間双極子–双極子相互作用を考慮するだけで理解できるが、複雑な系ではそれが非常に難しい場合がある。さらに、そうした相互作用は従来の光学機器では直接観測できない。今回Z Dongたちは、走査トンネル顕微鏡の探針からのトンネル電子によって生じた、高度に局在した励起によって誘起される発光を用いて、明確に定まった数個の亜鉛フタロシアニン分子の配列における励起子カップリングの空間分布をマッピングするとともに、その空間分布が個々の分子の遷移双極子の相対配向と相対位相にどのように依存するか調べられることを示した。今回の手法は、集光構造や分子光源に関して詳細な知見をもたらすと期待される。
2016年3月31日号の Nature ハイライト
細胞生物学:細胞内タンパク質の分解の制御
構造生物学:プロモーターに結合したTFIIDの構造
固体地球科学:潮汐を捉えることのできる、ドローンに搭載可能な重力計
光物性:双極子–双極子相互作用
認知神経科学:リスク認識の神経相関
内分泌学:動物の行動を遠隔操作
がん免疫療法:T細胞の抗腫瘍活性を増強する
細胞生物学:一次繊毛は本当にメカノセンサーか
細胞生物学:アレスチンの挙動とGPCRの機能