Nature ハイライト
細胞生物学:アレスチンの挙動とGPCRの機能
Nature 531, 7596
Gタンパク質共役受容体(GPCR)は広く存在する膜タンパク質で、多数のホルモン、神経伝達物質や薬剤の作用を仲介している。GPCRについては構造の解明が進んでいるが、その機能を調節するタンパク質と結合した際にGPCRのコンホメーションが変化する仕組みについては、ほとんど分かっていない。S Nuberたちは今回、生きている細胞中で、βアレスチン2がβアドレナリン受容体に結合してから最終的に解離するまでにβアレスチン2で起こるコンホメーション変化の動態を、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に基づいて創られたβアレスチン2バイオセンサー系を用いて調べた。βアレスチン2は、受容体と解離した後、少なくとも当初は活性なコンホメーションのまま細胞膜にとどまることが分かり、GPCRがなくてもシグナル伝達を行えることが明らかになった。一方、M Leeたちは一連の分子内FlAsH BRETレポーターを使って、6種類のGPCRの存在下でのβアレスチン2のコンホメーション変化を観察した。βアレスチン2では、異なるGPCRやリガンドに応じて特異的なコンホメーショナルシグネチャーが生じ、それは受容体–アレスチン複合体の安定性と関連していることが分かった。この知見によって、多様なGPCRが共通のエフェクターを使って多様な目的を達成できる理由が説明される。
2016年3月31日号の Nature ハイライト
細胞生物学:細胞内タンパク質の分解の制御
構造生物学:プロモーターに結合したTFIIDの構造
固体地球科学:潮汐を捉えることのできる、ドローンに搭載可能な重力計
光物性:双極子–双極子相互作用
認知神経科学:リスク認識の神経相関
内分泌学:動物の行動を遠隔操作
がん免疫療法:T細胞の抗腫瘍活性を増強する
細胞生物学:一次繊毛は本当にメカノセンサーか
細胞生物学:アレスチンの挙動とGPCRの機能