Nature ハイライト
細胞生物学:一次繊毛は本当にメカノセンサーか
Nature 531, 7596
一次繊毛は細胞表面から突き出している単独の細胞小器官である。このアンテナ様の構造から、その機能は周囲環境の感知だろうと考えられてきた。具体的には、繊毛内部にあるカルシウム透過性イオンチャネルが機械力を感知し応答するという考えがこの仮説の中心であり、胚発生中の左右軸決定の制御から多発性嚢胞腎や一部のがんの成体での進行まで、広範囲にわたる生物学的応答を説明するのに使われてきた。しかし、D Claphamたちは今回、この仮説を否定する証拠を示している。彼らは、遺伝子工学の手法によりCa2+に応答して蛍光を発するセンサータンパク質を発現させたマウスを使って、機械力を加えた後の一次繊毛でのCa2+シグナルを測定したが、力によって駆動されるCa2+流入を示す証拠は見つからなかった。もし一次繊毛で機械的刺激の変換が起こるならば、それはカルシウムシグナルを介するものではないと、彼らは結論している。
2016年3月31日号の Nature ハイライト
細胞生物学:細胞内タンパク質の分解の制御
構造生物学:プロモーターに結合したTFIIDの構造
固体地球科学:潮汐を捉えることのできる、ドローンに搭載可能な重力計
光物性:双極子–双極子相互作用
認知神経科学:リスク認識の神経相関
内分泌学:動物の行動を遠隔操作
がん免疫療法:T細胞の抗腫瘍活性を増強する
細胞生物学:一次繊毛は本当にメカノセンサーか
細胞生物学:アレスチンの挙動とGPCRの機能