Nature ハイライト
がん免疫療法:T細胞の抗腫瘍活性を増強する
Nature 531, 7596
今回、T細胞のコレステロール代謝の調整を介したがん免疫療法の新しい手法が報告された。C Xuたちは、マウスでアセチルCoAアセチルトランスフェラーゼ1(ACAT1)およびACAT2の遺伝的除去あるいは薬理学的阻害により、細胞のコレステロールのエステル化経路を阻害すると、CD8+ T細胞で細胞膜コレステロールレベルの上昇、T細胞受容体のクラスター形成およびシグナル伝達の増大が起こり、CD8+ T細胞の抗腫瘍応答が顕著に増強されることを実証した。ACAT1が、がん免疫療法の薬剤標的になり得るかどうかを検討するために、アテローム性動脈硬化症治療の臨床試験に使われたことのあるACAT阻害剤アバシミブを黒色腫マウスに投与したところ、抗腫瘍効果が観察された。また、アバシミブと抗PD-1抗体の併用療法は、どちらかの単剤療法より高い有効性を示した。
2016年3月31日号の Nature ハイライト
細胞生物学:細胞内タンパク質の分解の制御
構造生物学:プロモーターに結合したTFIIDの構造
固体地球科学:潮汐を捉えることのできる、ドローンに搭載可能な重力計
光物性:双極子–双極子相互作用
認知神経科学:リスク認識の神経相関
内分泌学:動物の行動を遠隔操作
がん免疫療法:T細胞の抗腫瘍活性を増強する
細胞生物学:一次繊毛は本当にメカノセンサーか
細胞生物学:アレスチンの挙動とGPCRの機能