Nature ハイライト
Cover Story:リボンの形成:グラフェンシートの自発的な自己組織化によって形成される多層グラフェンリボン
Nature 535, 7611
表紙は、単層ホストグラフェンシートから3つのリボンが同時に自己組織化する様子を表している。20年以上前に、グラフェンはナノスケールの折り紙のように折ったり切ったりして有用な形にすることが可能だろうと予想されていた。今週号ではJ AnnettとG Crossが、折りたたみ、すべり、引き裂きのような過程によって単層グラフェンが自己組織化し、三次元構造を作る系を報告している。グラフェンシートの小さなフラップ部分をグラフェン自体に触れるまで折り返すと、フラップ部分が自発的にすべり始め、その過程で引き裂かれてリボン状のグラフェン片ができる。二次元構造のグラフェンは、いったん動力学的障壁を超えれば合体してもっとよく知られた三次元層状構造を形成する。この剥離現象を駆動するのは、室温の空気中でも広い面積にわたって働くのに十分ロバストな熱力学的機構である。今回の知見は、二次元物質を機械的に駆動する新規な機構としてだけではなく、二次元材料からもっと複雑な三次元構造を組み立てる新しい手段としても有望である。
2016年7月14日号の Nature ハイライト
気候変動生態学:変化しつつある生物学的季節
創薬:新薬開発につながる抗腫瘍標的
惑星科学:原始星のスノーラインの直接撮像
量子計測学:シュレーディンガーの猫型の状態を使った計測
地球物理学:海洋リソスフェアの端成分
神経発生学:チョウはカラフルな世界を見る
発生生物学:哺乳類の原腸形成における単一細胞解析
幹細胞:造血幹細胞における骨髄細胞系譜の選択
分子生物学:アテローム性動脈硬化と脂肪性肝炎をダブルで防ぐ
細胞生物学:Ki-67タンパク質の界面活性作用