Nature ハイライト

Cover Story:リボンの形成:グラフェンシートの自発的な自己組織化によって形成される多層グラフェンリボン

Nature 535, 7611

自己剥離により形成された3本のグラフェンリボン。
自己剥離により形成された3本のグラフェンリボン。 | 拡大する

Credit: James Annett

表紙は、単層ホストグラフェンシートから3つのリボンが同時に自己組織化する様子を表している。20年以上前に、グラフェンはナノスケールの折り紙のように折ったり切ったりして有用な形にすることが可能だろうと予想されていた。今週号ではJ AnnettとG Crossが、折りたたみ、すべり、引き裂きのような過程によって単層グラフェンが自己組織化し、三次元構造を作る系を報告している。グラフェンシートの小さなフラップ部分をグラフェン自体に触れるまで折り返すと、フラップ部分が自発的にすべり始め、その過程で引き裂かれてリボン状のグラフェン片ができる。二次元構造のグラフェンは、いったん動力学的障壁を超えれば合体してもっとよく知られた三次元層状構造を形成する。この剥離現象を駆動するのは、室温の空気中でも広い面積にわたって働くのに十分ロバストな熱力学的機構である。今回の知見は、二次元物質を機械的に駆動する新規な機構としてだけではなく、二次元材料からもっと複雑な三次元構造を組み立てる新しい手段としても有望である。

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