Nature ハイライト
創薬:新薬開発につながる抗腫瘍標的
Nature 535, 7611
サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミドなどの免疫調節薬は、がんの1つである骨髄腫に有効であることが示されている。このような薬剤は、基質受容体の成分であるセレブロン(cereblon;CRBN)を介して、標的であるE3ユビキチンリガーゼのCRL4CRBN(CUL4–DDB1–RBX1–cereblon)に結合する。M Matyskielaたちは今回、これとは別の基質、すなわち翻訳終結因子GSPT1を標的とする新たな免疫調節薬CC-885を見いだした。急性骨髄性白血病患者由来の腫瘍細胞は、CC-885に対して極めて高い感受性を示した。また、CRBN–DDB1–CC-885–GSPT1複合体の結晶構造も解かれ、GSPT1は、その表面にある折れ曲がり構造を介してセレブロンおよびCC-885と結合することが明らかにされた。セレブロンのまた別の基質であるイカロス(Ikaros)も、類似の構造的特徴を介して薬剤–酵素複合体に結合するので、CC-885は基質動員のための共通モチーフを使っている可能性がある。
2016年7月14日号の Nature ハイライト
気候変動生態学:変化しつつある生物学的季節
創薬:新薬開発につながる抗腫瘍標的
惑星科学:原始星のスノーラインの直接撮像
量子計測学:シュレーディンガーの猫型の状態を使った計測
地球物理学:海洋リソスフェアの端成分
神経発生学:チョウはカラフルな世界を見る
発生生物学:哺乳類の原腸形成における単一細胞解析
幹細胞:造血幹細胞における骨髄細胞系譜の選択
分子生物学:アテローム性動脈硬化と脂肪性肝炎をダブルで防ぐ
細胞生物学:Ki-67タンパク質の界面活性作用