Nature ハイライト

気候変動生態学:変化しつつある生物学的季節

Nature 535, 7611

開花開始日のデータが指標として使われた、スノードロップ(ヒガンバナ科)。
開花開始日のデータが指標として使われた、スノードロップ(ヒガンバナ科)。 | 拡大する

Credit: Ross Newham / Centre for Ecology & Hydrology

気候変動に対する生物季節学的応答は生物種によってばらつきがあり、そのため重要な種間相互作用が次第に脱同期化して生態系機能に影響が及ぶのではないかという懸念が広がっている。今回S Thackerayたちは、1960~2012年の生物季節学的データセット1万組以上と温度および降水量のデータを合わせて用い、英国全土の陸上および水中の計812タクソンについて気候感受性を調べた。分類学的類縁性や栄養段階が共通する生物間に著しい不均一性があるにもかかわらず、全ての栄養段階にわたる生物季節学的な気候感受性の高さや方向性には系統的な差異が認められた。特に、二次消費者の気候感受性は一次生産者や一次消費者と比べて低かった。著者たちは、こうした栄養段階による生物季節学的な気候感受性の差異が将来の季節的事象の脱同期化を生じる可能性を示唆している。

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