Nature ハイライト
気候変動生態学:変化しつつある生物学的季節
Nature 535, 7611
気候変動に対する生物季節学的応答は生物種によってばらつきがあり、そのため重要な種間相互作用が次第に脱同期化して生態系機能に影響が及ぶのではないかという懸念が広がっている。今回S Thackerayたちは、1960~2012年の生物季節学的データセット1万組以上と温度および降水量のデータを合わせて用い、英国全土の陸上および水中の計812タクソンについて気候感受性を調べた。分類学的類縁性や栄養段階が共通する生物間に著しい不均一性があるにもかかわらず、全ての栄養段階にわたる生物季節学的な気候感受性の高さや方向性には系統的な差異が認められた。特に、二次消費者の気候感受性は一次生産者や一次消費者と比べて低かった。著者たちは、こうした栄養段階による生物季節学的な気候感受性の差異が将来の季節的事象の脱同期化を生じる可能性を示唆している。
2016年7月14日号の Nature ハイライト
気候変動生態学:変化しつつある生物学的季節
創薬:新薬開発につながる抗腫瘍標的
惑星科学:原始星のスノーラインの直接撮像
量子計測学:シュレーディンガーの猫型の状態を使った計測
地球物理学:海洋リソスフェアの端成分
神経発生学:チョウはカラフルな世界を見る
発生生物学:哺乳類の原腸形成における単一細胞解析
幹細胞:造血幹細胞における骨髄細胞系譜の選択
分子生物学:アテローム性動脈硬化と脂肪性肝炎をダブルで防ぐ
細胞生物学:Ki-67タンパク質の界面活性作用