Nature ハイライト
神経発生学:チョウはカラフルな世界を見る
Nature 535, 7611
チョウの色覚には3タイプの個眼が関わっている。個眼とは複眼の構成単位で、この3タイプの個眼が網膜全体にほぼランダムに分布している。チョウよりも色彩への感受性に依存していないショウジョウバエ(Drosophila)などの昆虫では、2つの主要タイプの個眼しかなく、個眼の細胞の運命はR7視細胞で転写因子Spinelessが発現されているかどうかによって決まる。C Desplanたちは今回、チョウの網膜では個眼それぞれに、2種のR7様視細胞が含まれることを明らかにした。それによって、ショウジョウバエのような2通り(オンまたはオフ)ではなくて、3通りの結果(オン/オン、オン/オフ、オフ/オフ)が生じる。著者たちは、このような戦略が、発生の結果の多様性を増すための単純な進化的手段なのではないかと考えている。
2016年7月14日号の Nature ハイライト
気候変動生態学:変化しつつある生物学的季節
創薬:新薬開発につながる抗腫瘍標的
惑星科学:原始星のスノーラインの直接撮像
量子計測学:シュレーディンガーの猫型の状態を使った計測
地球物理学:海洋リソスフェアの端成分
神経発生学:チョウはカラフルな世界を見る
発生生物学:哺乳類の原腸形成における単一細胞解析
幹細胞:造血幹細胞における骨髄細胞系譜の選択
分子生物学:アテローム性動脈硬化と脂肪性肝炎をダブルで防ぐ
細胞生物学:Ki-67タンパク質の界面活性作用