Nature ハイライト
幹細胞:造血幹細胞における骨髄細胞系譜の選択
Nature 535, 7611
造血系で細胞系譜を誘導する転写因子が細胞運命の決定を促す仕組みは議論の的になっている。細胞集団レベルでの解析から、これらの転写因子の正のフィードバックや相互抑制の存在が明らかになっており、このことから、細胞系譜の選択は互いに拮抗する転写因子の変動によって確率論的に引き起こされると考えられている。今回T Schroederたちは、ライブ画像化法と単一細胞解析法を用いて、造血幹細胞による巨核球–赤芽球系譜あるいは顆粒球–単球系譜への分化の決定が、細胞系譜特異的な転写因子PU.1とGATA1とのそうした確率論的な切り替えに依存していないことを明らかにした。この結果は、骨髄細胞系譜の初期選択についての従来のモデルに疑問を投げ掛けるものだ。
2016年7月14日号の Nature ハイライト
気候変動生態学:変化しつつある生物学的季節
創薬:新薬開発につながる抗腫瘍標的
惑星科学:原始星のスノーラインの直接撮像
量子計測学:シュレーディンガーの猫型の状態を使った計測
地球物理学:海洋リソスフェアの端成分
神経発生学:チョウはカラフルな世界を見る
発生生物学:哺乳類の原腸形成における単一細胞解析
幹細胞:造血幹細胞における骨髄細胞系譜の選択
分子生物学:アテローム性動脈硬化と脂肪性肝炎をダブルで防ぐ
細胞生物学:Ki-67タンパク質の界面活性作用