Nature ハイライト
構造生物学:カルシウムチャネル遮断薬の構造
Nature 537, 7618
高血圧の治療に主に使われるジヒドロピリジンと心臓不整脈の管理に使われるフェニルアルキルアミンという2種類のカルシウムチャネル遮断薬の作用の構造基盤が今回、明らかにされた。CaVチャネルのホモ四量体モデルである細菌のCaVAbの活性は、ジヒドロピリジンとフェニルアルキルアミンによってナノモルの親和性で状態に依存する様式で抑制される。L Tangたちは、CaVAbにこの2種類の薬剤が結合する仕組みについて、結晶学的および機能的解析を行った。ジヒドロピリジンの結合部位はチャネル小孔の外側の脂質に面した表面に位置しているが、フェニルアルキルアミンの結合部位は小孔の中央のキャビティ内にあって、選択性フィルターの細胞内部側に位置していることが分かった。これらの結果は、これら2種類のカルシウムチャネル遮断薬の作用機序を明らかにしており、副作用がより少なく有効性の高い新規拮抗薬の設計と開発を促進すると考えられる。
2016年9月1日号の Nature ハイライト
環境科学:アメリカ大陸への人類移動は海沿いの経路で
発生生物学:発生中の多能性幹細胞における種ごとの違い
がん:低酸素状態による遺伝子抑制
惑星科学:ロゼッタが一掃きした彗星の塵
量子光学:除外点から生じるエキゾチックな成果
気候科学:南極の氷が海洋を淡水化する
生態学:種の共存の根源
神経科学:セロトニンは不安と恐怖学習を引き起こす
がん:進行乳がんに見られる2つの細胞集団
構造生物学:カルシウムチャネル遮断薬の構造