Nature ハイライト
創薬:痛みを標的とするデザイナーオピオイド
Nature 537, 7619
ケシから採れるモルヒネなどのアルカロイドは、μオピオイド受容体のアゴニストで、何世紀にもわたって痛みの治療に使われてきた。今回、計算科学の手法を使い、300万個以上の小分子についてμオピオイド受容体への結合状態が調べられた。そして、最も有望な構造群を選んで構造を基盤とする最適化を行い、強力なアゴニストであるPZM21が見つかった。PZM21はμオピオイド受容体に対して非常に高いサブタイプ選択性を示す。PZM21はマウスで強力な鎮痛作用を発揮し、この作用はμオピオイド受容体ノックアウトマウスでは完全に失われる。小分子であるPZM21は痛みの情動的要素を低減するようで、反射行動には検出できるほどの変化は引き起こさず、呼吸抑制もほとんど見られない。
2016年9月8日号の Nature ハイライト
材料科学:液体の動きを光で操作
創薬:痛みを標的とするデザイナーオピオイド
構造生物学:ニア原子分解能で得られた真核生物Cavチャネルの構造
構造生物学:分岐したスプライシング複合体の構造
構造生物学:タンパク質をまとわせてトラブルを回避するシャペロン
宇宙物理学:オリオン・バー分子雲の観測
ナノ科学:個々のナノチューブを通る水流
進化生物学:指と鰭条の発生に関わるHox遺伝子群
創薬:新しい薬剤が狙い撃つ3つの熱帯病
免疫学:胚中心での酸素制限