Nature ハイライト
構造生物学:ニア原子分解能で得られた真核生物Cavチャネルの構造
Nature 537, 7619
電位依存性カルシウム(Cav)チャネルは、膜で生じた電気シグナルをCa2+が仲介して起こる細胞内事象に変換する。例えば、Cav1.1は骨格筋で発現され、興奮収縮連関の電位センサーとして働いている。今回、ウサギ由来Cav1.1の3.6 Å分解能での低温電子顕微鏡構造が報告された。中核となるα1サブユニットの高分解能構造が得られ、イオン透過経路を詳しく調べることが可能になり、複数の伸びた細胞外ループが選択性フィルターの上部に「開口部のあるドーム」を形成しているという予想外の構造が明らかになった。Cav1.1複合体のこのニア原子構造によって興奮収縮連関の構造解明の基盤が確立され、CavおよびNavチャネルの機能と疾患機序の分子レベルでの説明のための三次元モデルが得られた。
2016年9月8日号の Nature ハイライト
材料科学:液体の動きを光で操作
創薬:痛みを標的とするデザイナーオピオイド
構造生物学:ニア原子分解能で得られた真核生物Cavチャネルの構造
構造生物学:分岐したスプライシング複合体の構造
構造生物学:タンパク質をまとわせてトラブルを回避するシャペロン
宇宙物理学:オリオン・バー分子雲の観測
ナノ科学:個々のナノチューブを通る水流
進化生物学:指と鰭条の発生に関わるHox遺伝子群
創薬:新しい薬剤が狙い撃つ3つの熱帯病
免疫学:胚中心での酸素制限