Nature ハイライト
創薬:新しい薬剤が狙い撃つ3つの熱帯病
Nature 537, 7619
いずれもキネトプラスト類の寄生虫によって引き起こされるシャーガス病、リーシュマニア症、睡眠病は、それぞれクルーズ・トリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)、トリパノソーマ類のリーシュマニア(Leishmania spp.)、ブルース・トリパノソーマ(Trypanosoma brucei spp.)への感染が原因で、世界中で2000万人が罹患している。今回、進化的に保存されている分子標的を新たに探索し、3つの病気全ての治療に使えそうな、広範囲にわたる薬効のある薬剤を見つけ出すためのスクリーニングが行われ、キネトプラスト類のプロテアソームの選択的阻害剤の1つであるGNF6702が、最も有効であることが明らかになった。GNF6702はin vivoで極めて高い有効性を示し、この3種類の感染症のモデル全てでマウスから寄生虫が排除された。GNF6702は非競合阻害剤で、キネトプラスト類のプロテアソームに特異性があり、マウスでの忍容性は良好である。今回の結果は、このような複数の顧みられない病気の治療に使える単一種の薬剤の開発が可能と思われることを明確に示している。
2016年9月8日号の Nature ハイライト
材料科学:液体の動きを光で操作
創薬:痛みを標的とするデザイナーオピオイド
構造生物学:ニア原子分解能で得られた真核生物Cavチャネルの構造
構造生物学:分岐したスプライシング複合体の構造
構造生物学:タンパク質をまとわせてトラブルを回避するシャペロン
宇宙物理学:オリオン・バー分子雲の観測
ナノ科学:個々のナノチューブを通る水流
進化生物学:指と鰭条の発生に関わるHox遺伝子群
創薬:新しい薬剤が狙い撃つ3つの熱帯病
免疫学:胚中心での酸素制限