Nature ハイライト
構造生物学:グルタミン酸受容体の脱感作状態
Nature 537, 7621
AMPA型とカイニン酸型のグルタミン酸受容体サブタイプはリガンド依存性のイオンチャネルで、中枢神経系でのシナプス伝達を仲介している。これらの受容体の「静止」状態と「脱感作」状態では、イオンチャネルは共に閉じているが、リガンド結合ドメイン層は著しく異なるコンホメーションをとっている。今回、カイニン酸受容体GluK2サブタイプについて、脱感作状態の高分解能低温電子顕微鏡構造が報告された。その構造から、リガンド結合ドメイン中でリング様構造が確立されると、受容体が脱感作状態に到達することが明らかになった。この「脱感作リング」の形成が、リガンド結合ドメインの擬似4回対称配置の誘導へつながり、受容体が静止状態へと戻るにはこれが崩壊しなくてはならない。
2016年9月22日号の Nature ハイライト
古生物学:猿人「ルーシー」は墜落死した?
ゲノミクス:胚の表現型と致死遺伝子
音響学:プレート上の音響ホログラム
材料学:デザイナーマルチフェロイクス
地質学:太古の地球に存在した生命の証
免疫学:抗腫瘍防御に対する細胞死の影響
発生生物学:胚発生におけるクロマチン状態
植物科学:フォトトロピンは光合成調節に関わっている
構造生物学:グルタミン酸受容体の脱感作状態