Nature ハイライト

Cover Story:謎の天体:高速電波バーストの正確な位置が決められたことで明らかになった遠方のホスト天体と謎の持続的バースト源

Nature 541, 7635

表紙は、米国ニューメキシコ州ソコーロに設置されているカール・ジャンスキー超大型干渉電波望遠群のパラボラアンテナと天の川銀河である。高速電波バーストFRB 121102はプエルトリコのアレシボ天文台が2012年に観測した現象で、現在知られている唯一の反復バースト源である。S Chatterjeeたちは今回、バーストそのものを直接撮像する時間分解能の高い電波干渉計を用いて、このバーストの位置を1秒角以下の精度で決定している。FRBは、継続時間が数ミリ秒の電波領域の閃光で、その物理的性質はまだ解明されていない。このFRBのホスト天体や多波長で観測される対応天体の検出を試みたこれまでの観測は、分解能が不足していたために単一の天体の同定には至っていなかった。今回FRB 121102の位置が決められたことで、100ミリ秒角の範囲内でバーストに一致する、持続的な電波・可視光源が1つ明らかになっている。この謎めいた持続的バースト源の候補としては、遠く離れたホスト銀河中にあって自らの星雲に包まれている中性子星、低光度の活動銀河核、あるいはこれまで知られていなかったタイプの銀河系外バースト源などが考えられている。(Letter p.58; N&V p.32)

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