Nature ハイライト
神経変性:XRCC1変異と結び付けられた小脳性運動失調症
Nature 541, 7635
今回、DNA一本鎖切断修復に関わる足場タンパク質であるヒトXRCC1の変異型が、眼球運動失行症、軸索性ニューロパチー、進行性の小脳性運動失調症と関連することが示されている。XRCC1変異を持つ患者に由来する細胞では、切断修復の速度が低下し、一本鎖切断を感知するタンパク質であるPARP1が過剰に活性化しており、その結果、細胞のADPリボースレベルが異常に高くなっていた。Xrcc1欠損マウスでParp1を遺伝学的に欠失させると、過剰なADPリボースの蓄積が抑制され、小脳ニューロンの喪失や小脳性運動失調症が救済された。以上の知見は、PARP1がDNA鎖切断修復の不全によって生じる疾患の治療標的となり得ることを示すものである。
2017年1月5日号の Nature ハイライト
がん:口腔がんにおける転移開始細胞
構造生物学:Slo1カリウムチャネルの構造と活性
光物理学:二次元半導体における点滅
化学:担持触媒における水素スピルオーバー
肥満:体脂肪と糖尿病リスク
神経変性:XRCC1変異と結び付けられた小脳性運動失調症
植物科学:イネのリン利用を操作する
免疫学:肺線維症を誘導する免疫細胞の種類
老化:スプライシング因子1の過剰発現は寿命を延長させる
発生生物学:単一細胞レベルで細胞系譜をたどる
ウイルス学:結合したFluAポリメラーゼの構造を解明