Nature ハイライト
量子物理学:原子時計状態におけるスピン–軌道結合
Nature 542, 7639
スピン–軌道結合は、トポロジカル絶縁体などの物性物理学における興味深い多くの現象の根源である。凝縮物質系の物理を理解するために、極低温中性原子などの原子技術によるシミュレーションが試みられている。しかし、極低温量子気体などのプラットフォームで人工的なスピン–軌道結合を実現するのは難しく、その試みの大半は発熱効果に悩まされている。今回、コロラド大学の研究者たちが、光格子時計に関する幅広い経験を生かして、新しい戦略を実証している。彼らは、87Sr の2つの電子状態間の狭い光時計遷移を使って、スピン–軌道結合を87Sr光格子時計に組み入れることで、他の方法を悩ませてきた発熱問題を避けている。彼らは一次元系しか使っていないが、この方式をより大きな系に拡張すれば、凝縮物質系のエキゾチックな現象をシミュレートする機会が得られる可能性がある。
2017年2月2日号の Nature ハイライト
神経科学:インターロイキンは感覚応答を調節し得る
発生生物学:リンパ系細胞分化の代謝による制御
構造生物学:力依存的なTGF-β1の活性化
構造生物学:環状ヌクレオチド依存性チャネルを見る
量子物理学:原子時計状態におけるスピン–軌道結合
物理学:短期記憶のクールな技術
画像化技術:単一原子レベルでの材料特性
地球科学:熱帯泥炭地の炭素貯蔵
生態学:樹木限界の生態系の特性
比較ゲノミクス:プラスモジウム属のゲノムからマラリア原虫の進化についての手掛かりが得られた
植物科学:トウモロコシにおける半数体の誘導
免疫学:関節リウマチにおける末梢ヘルパーT細胞
がん:膵臓がんでの遺伝子欠失