Nature ハイライト
画像化技術:単一原子レベルでの材料特性
Nature 542, 7639
FePtナノ粒子には、触媒や磁気記憶媒体と同じくらい多様な実用分野での可能性がある。しかし、このナノ粒子は、きれいな結晶材料からは程遠く、結晶粒界などの結晶欠陥を伴っていて構造的に不均一である。今回、J Miaoたちは、2万3000以上の原子を含む単一のFePtナノ粒子の複雑な原子スケールの構造を明らかにしている。彼らは、高解像度トモグラフィー法でナノ粒子の連続傾斜像を68枚取得し、新しいアルゴリズムを用いて再構築することによって、22ピコメートルの分解能を達成している。再構築された構造から、ナノ粒子の複雑さや、ナノ粒子内部の結晶粒の化学的性質と結晶構造が明らかになった。秩序/無秩序特性を解析したところ、結晶粒の規則性は、ナノ粒子の中心部に向かうにつれて高くなり、ナノ粒子の表面に向かうにつれて低くなることが見いだされた。また、彼らは、2つの結晶粒の間の界面から得られたデータを用いて、密度汎関数理論によって局所的な磁気結晶異方性エネルギーを計算し、磁気結晶異方性エネルギーが結晶粒内で秩序パラメーターとともにどのように変化するか、また粒界をまたいでどのように変化するかを明らかにした。
2017年2月2日号の Nature ハイライト
神経科学:インターロイキンは感覚応答を調節し得る
発生生物学:リンパ系細胞分化の代謝による制御
構造生物学:力依存的なTGF-β1の活性化
構造生物学:環状ヌクレオチド依存性チャネルを見る
量子物理学:原子時計状態におけるスピン–軌道結合
物理学:短期記憶のクールな技術
画像化技術:単一原子レベルでの材料特性
地球科学:熱帯泥炭地の炭素貯蔵
生態学:樹木限界の生態系の特性
比較ゲノミクス:プラスモジウム属のゲノムからマラリア原虫の進化についての手掛かりが得られた
植物科学:トウモロコシにおける半数体の誘導
免疫学:関節リウマチにおける末梢ヘルパーT細胞
がん:膵臓がんでの遺伝子欠失