Nature ハイライト

Cover Story:集団の制御:自律的なボットが人間の集団の共同行動の成績を向上させる

Nature 545, 7654

共通の目標に向けた集団の共同行動は、たとえ各人の関心がそろっていたとしても、「協調」の問題に直面する。各個人に局所最適な解を得ようとする個人の試みは、集団全体にとって最適とは限らないのである。今回、N Christakisと白土寛和(米国エール大学)は、この問題を解決できる可能性のある方法を、自律的なソフトウエア(人工知能)エージェントである「ボット」という形で示している。彼らは、各ノードの色を全ての隣接ノードと異なる色にすることを全体の目標とする標準的なカラーコーディネーションゲームに取り組む人間の小規模なネットワークに、単純なボットを導入し、人間とボットからなる「混成系」を作った。ボットを使って意思決定過程にノイズを導入すると、集団の総合的な成績が向上することが分かった。ノイズのあるボットは、ネットワークの中心に置かれて中程度(10%)のランダムネスを示す場合に、最もよく機能した。こうした条件下で、ボットは、人間とボットの間の相互作用だけでなく、離れたノードでの人間同士の相互作用も改善し、人間同士が助け合うのに役立った。

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