Nature ハイライト
生物物理学:細胞移動の流れのソースとシンク
Nature 545, 7654
今回、川口喬吾(東京大学ほか)たちは、培養神経前駆細胞で見られる特定の種類の欠陥構造が、その欠陥周囲の細胞の移動方向に依存して、細胞移動の流れの「ソース(供給源)」と「シンク(集積源)」として働き得ることを示している。トポロジカル欠陥として知られるこのような欠陥構造の周囲の細胞の配列は、人工の伸長性のアクティブなネマチック液晶系に見られるものと類似している。このような欠陥の周囲では、細胞が集積してマウンドを形成したり、細胞密度が低下したりすることにより、細胞の流れに影響を与えていることが分かった。著者たちは、細胞の運動性によるアクティブな力と摩擦力が相互に影響して、細胞の流れや密度の変化につながっていると考えている。
2017年5月18日号の Nature ハイライト
微生物学:グラム陰性細菌における低分子蓄積の規則
心血管疾患:腸のマイクロバイオームは脳での奇形形成を促進する
植物科学:硝酸イオンによる根や地上部へのシグナル伝達
構造生物学:GPCRの選択的結合の仕組みを解読
原子物理学:量子チップ上の相関を定量化する
生物物理学:細胞移動の流れのソースとシンク
地球科学:地震の推進力
神経科学:ゼブラフィッシュの脳地図作成
神経科学:軸索に対するネトリン1の影響を再考する
がん:Notchシグナル伝達は腫瘍の増殖を手助けする