Nature ハイライト
原子物理学:量子チップ上の相関を定量化する
Nature 545, 7654
量子チップ上のルビジウム原子の極低温ガスは、量子多体物理学の十分確立されたアナログ量子シミュレーターである。この系はサイン・ゴルドン模型と呼ばれる場の理論によって記述されると提唱されているが、これを検証するには、高次相関関数の直接測定が必要である。ある系の全ての相関関数を知ることは、その系の特性を明らかにして、基礎となる量子多体問題を解くことができるということである。今回、著者たちは、量子チップ上の極低温ガスにおける高次相関関数を干渉パターンから測定し、実際にサイン・ゴルドン模型によって記述できることを定量的に確認している。今回の方法は、原理的には、多種類の量子系に適用できる可能性があるため、アナログ量子シミュレーターをより定量的に知見が得られるツールに変えるのに役立つと思われる。
2017年5月18日号の Nature ハイライト
微生物学:グラム陰性細菌における低分子蓄積の規則
心血管疾患:腸のマイクロバイオームは脳での奇形形成を促進する
植物科学:硝酸イオンによる根や地上部へのシグナル伝達
構造生物学:GPCRの選択的結合の仕組みを解読
原子物理学:量子チップ上の相関を定量化する
生物物理学:細胞移動の流れのソースとシンク
地球科学:地震の推進力
神経科学:ゼブラフィッシュの脳地図作成
神経科学:軸索に対するネトリン1の影響を再考する
がん:Notchシグナル伝達は腫瘍の増殖を手助けする