Nature ハイライト
心血管疾患:腸のマイクロバイオームは脳での奇形形成を促進する
Nature 545, 7654
脳海綿状血管腫(CCM)は主に脳で見られる血管系の奇形で、出血性脳卒中やてんかん発作の原因となることがある。CCMは、脳の内皮細胞でのMEKK3–KLF2/4シグナル伝達やRho/ROCKシグナル伝達を負に調節する複合体の構成要素の機能喪失変異から生じる。今回M Kahnたちは、脳の内皮細胞で、この経路を活性化する上流の調節因子を突き止めた。マウスでは、腸内細菌由来のリポ多糖が、内皮細胞のTLR4を活性化して CCM形成を促進し得ることが分かった。著者らはさらに、TLR4遺伝子あるいはその共受容体をコードする遺伝子のCD14の多型が、ヒトでCCM病変量の増加に関連することも見いだした。これらの知見は、腸のマイクロバイオームとTLR4がCCMの重要な促進因子であり、また治療標的候補と考えられることを明らかにしている。
2017年5月18日号の Nature ハイライト
微生物学:グラム陰性細菌における低分子蓄積の規則
心血管疾患:腸のマイクロバイオームは脳での奇形形成を促進する
植物科学:硝酸イオンによる根や地上部へのシグナル伝達
構造生物学:GPCRの選択的結合の仕組みを解読
原子物理学:量子チップ上の相関を定量化する
生物物理学:細胞移動の流れのソースとシンク
地球科学:地震の推進力
神経科学:ゼブラフィッシュの脳地図作成
神経科学:軸索に対するネトリン1の影響を再考する
がん:Notchシグナル伝達は腫瘍の増殖を手助けする