Nature ハイライト
神経科学:頭の向きを変えるニューロン
Nature 546, 7656
空間ナビゲーションの一部は、「頭方向ニューロン」に依存することが知られている。これらのニューロンは複数の動物種で体内コンパスのような働きをするが、こうした細胞の持続的な活動を生み出し、それを随時更新する神経回路は分かっていない。今回G Maimonたちは、ショウジョウバエ(Drosophila)が頭の向きを変えるとき、いつどれくらい向きを変えるべきかの回頭信号を発する、2つのタイプの上流ニューロンを発見した。P-EN1は頭の向きを変え始めるときにアクセルペダルのように働き、P-EN2は向きを変え終えたときにブレーキのように働く。一方、左右のP-ENニューロンの非対称度は頭の向きを変える速さを示す。これらの知見は、例えばアリ、ハナバチ、齧歯類などといった他の動物種で提唱されている空間的積算の演算モデルへの情報をもたらすだけでなく、一般的に脳がどのようにして一過的な入力を持続的な活動に積算するかを、神経科学的に理解する助けとなるだろう。
2017年6月1日号の Nature ハイライト
神経科学:頭の向きを変えるニューロン
構造生物学:低温電子顕微鏡法により解かれたGPCRの構造
物性物理学:相転移材料は次の局面へ
原子物理学:高強度X線に対する超高速分子応答
大気科学:変化する気候における大気中のオキシダントの存在量
地球科学:地震発生帯の熱水圧力
微生物学:LamAが抗生物質耐性に果たす役割
細胞画像化:細胞小器官の相互作用をマッピング