Nature ハイライト

原子物理学:高強度X線に対する超高速分子応答

Nature 546, 7656

X線自由電子レーザーによって、速い生体過程の構造的な精査など、多くの新しい応用が得られる。これには、高強度硬X線パルスを使う必要があるが、そうした条件下での物質のふるまいは十分調べられていない。今回A Rudenkoたちは、重原子を1個含む小さな多原子分子に超高強度硬X線パルスを照射したときの応答は、それほど極端でない条件下の実験で見られるものとは質的に異なることを示している。同じ条件下での重原子1個のイオン化と比較すると、観測された分子のイオン化はかなり増強されており、これは、重原子から出ていった電子を補充する超高速電荷移動が分子内で生じて、さらなるイオン化が可能になるためである。この効果を説明できたことは、生体系研究へのX線自由電子レーザーの利用促進に役立つだろう。

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