Nature ハイライト
構造生物学:低温電子顕微鏡法により解かれたGPCRの構造
Nature 546, 7656
結晶化の必要なしでニア原子分解能の構造情報が得られる低温電子顕微鏡法は、構造生物学で最近広く使われるようになってきた。しかし、この方法には像コントラストが低いという問題があるため、使用は通常、200 kDaより大きなタンパク質に限られてきた。P Sextonたちは今回、ボルタ位相板単粒子低温電子顕微鏡を使って、ペプチドリガンドおよびGαsβγタンパク質と複合体を形成した完全長カルシトニン受容体の構造を報告している。これは、低温電子顕微鏡を使って高分解能で構造が解かれた最初のクラスB完全長Gタンパク質共役受容体(GPCR)であり、また完全なヘテロ三量体Gタンパク質と複合体を形成したGPCRの構造としては2番目の報告である。この構造は活性な状態のGPCRを示していて、ペプチドアゴニストの結合とGタンパク質との連結によってクラスB受容体で起こるコンホメーション変化について重要な情報を明らかにしている。
2017年6月1日号の Nature ハイライト
神経科学:頭の向きを変えるニューロン
構造生物学:低温電子顕微鏡法により解かれたGPCRの構造
物性物理学:相転移材料は次の局面へ
原子物理学:高強度X線に対する超高速分子応答
大気科学:変化する気候における大気中のオキシダントの存在量
地球科学:地震発生帯の熱水圧力
微生物学:LamAが抗生物質耐性に果たす役割
細胞画像化:細胞小器官の相互作用をマッピング