Nature ハイライト
地球科学:地震発生帯の熱水圧力
Nature 546, 7656
断層の岩石変形は、温度の変化と岩石の間隙内にある流体の圧力の変化の影響を受ける。地震は、こうした条件の変化によって地殻内の鉱物相が不安定化するときに起こるので、この「転換点」にどのように到達するかの解明は、地震予測に重要である。今回R Sutherlandたちは、ニュージーランド南部のアルパイン断層上盤を掘削した抗井から得られた知見を報告している。この断層は、地震後経過率が高く今後数十年内にマグニチュード8の地震を起こすと予測されている。著者たちは、静水圧よりずっと高い間隙流体圧勾配を観測しており、これは、周囲の岩石にかかる圧力が大きく、断層「上盤」内部の地温勾配が高いことを意味している。彼らは、このような極端な条件は、地表下深部から上向きに岩石と熱を輸送する急速な断層運動と、地表で熱を渓谷に集中させる、地形が駆動する流体の動きに起因していると結論している。
2017年6月1日号の Nature ハイライト
神経科学:頭の向きを変えるニューロン
構造生物学:低温電子顕微鏡法により解かれたGPCRの構造
物性物理学:相転移材料は次の局面へ
原子物理学:高強度X線に対する超高速分子応答
大気科学:変化する気候における大気中のオキシダントの存在量
地球科学:地震発生帯の熱水圧力
微生物学:LamAが抗生物質耐性に果たす役割
細胞画像化:細胞小器官の相互作用をマッピング