Nature ハイライト
光学:例外点の例外的な光学特性
Nature 548, 7666
開放(非エルミート)物理系に関する最近の知見によって、直観に反して損失が導入される一連の新しい光学系が実現した。損失と利得を精密に調節することによって、「例外点(exceptional point)」と呼ばれる特定の縮退が出現する。例外点では興味深い特性が現れ、例えば、新しいタイプのレーザー、一方向光導波路、トポロジカル効果に利用できる。今週号の2報の論文では、そうした非エルミート縮退は外部摂動に対する感度が高く、精密センシングや精密検出に使用できることが実証されている。W Chenたちは、二酸化シリコン・マイクロトロイド共振器に生じた例外点を用いるナノ粒子のセンシングについて報告している。H Hodaeiたちは、半導体レーザー物質でできた3つのマイクロリングを結合させることによって、より高次の例外点を出現させた。この三次の例外点は、摂動に対して平方根よりもさらに高次の立方根の依存性を示す。いずれの論文も、チップベースの超精密センシングシステムを実現する新しい道筋を示している。
2017年8月10日号の Nature ハイライト
進化学:類人猿の祖先の進化
神経科学:連合記憶系の配線図
光学:例外点の例外的な光学特性
環境科学:生態系の干ばつからの回復
生態学:高次相互作用が種の多様性を維持する
人類学:青銅器時代のヨーロッパ人の遺伝的祖先
幹細胞:幹細胞発生の抑制因子
がん:がんにおける不活性型の変異型BRAF
構造生物学:タンパク質の自己集合が止まらなくなる「ホットスポット」