Nature ハイライト
がん:がんにおける不活性型の変異型BRAF
Nature 548, 7666
ヒト腫瘍ではキナーゼであるBRAFの変異対立遺伝子が見つかっているが、触媒機能が活性化されたものもあれば、キナーゼ活性が低下あるいは欠損したものもある。今回N Rosenたちは、あまり解明の進んでいなかった、活性の低下した変異型BRAFの特徴を明らかにしている。これらの変異型BRAFは、シグナル伝達を増幅するために上流調節因子のRASとより強固に結合し、腫瘍において機能するためにRASを活性化する機構を同時に必要とする。これらの活性が低下した変異型BRAFの作用機構は、活性型変異型BRAFとは異なり、この経路の治療阻害剤に対する腫瘍の感受性を決定している。また、別の論文ではD Santamariaたちが、キナーゼ不活性型の変異型BRAFがマウスの肺腺がんの発生を開始できることを示している。
2017年8月10日号の Nature ハイライト
進化学:類人猿の祖先の進化
神経科学:連合記憶系の配線図
光学:例外点の例外的な光学特性
環境科学:生態系の干ばつからの回復
生態学:高次相互作用が種の多様性を維持する
人類学:青銅器時代のヨーロッパ人の遺伝的祖先
幹細胞:幹細胞発生の抑制因子
がん:がんにおける不活性型の変異型BRAF
構造生物学:タンパク質の自己集合が止まらなくなる「ホットスポット」