Nature ハイライト
がん:脳腫瘍への道を阻むもの
Nature 549, 7673
脳腫瘍の増殖は、正常な脳の微小環境に影響を受ける。今回、著者たちは正常なニューロンによるニューロリギン3(NLGN3)の分泌が関与する微小環境のシグナル伝達経路を明らかにしている。NLGN3は細胞外プロテアーゼにより切断され、神経膠腫細胞で発がん性シグナル伝達を刺激し、転写の変化を誘導する。腫瘍微小環境内のNLGN3切断を抑制すると、脳腫瘍異種移植片のin vivoでの増殖が妨げられた。この結果から、この経路や微小環境シグナル伝達全般への干渉は、脳腫瘍の治療戦略となる可能性があることが示唆された。
2017年9月28日号の Nature ハイライト
神経科学:大脳皮質の配線に見られる時空間的序列
免疫学:行動異常の背景となる脳の小領域
天文学:ブラックホールの周りがすっかりきれいなことが多い理由
物性物理学:これまでで最高のスピン分裂
化学:自然界に備わる道具箱に加わった付加環化
進化学:地球誕生の時期に迫る最古の生命の証拠
遺伝学:親の年齢が新しい変異に影響を及ぼす
神経科学:アルツハイマー病のリスク因子がタウ病変を増悪させる
がん:脳腫瘍への道を阻むもの
がん遺伝学:胚のDNAメチル化プロファイルとがんとのつながり