Nature ハイライト
Cover Story:免疫サービス:ヒトペプチドローディング複合体の構造から免疫系のプライマーが明らかになった
Nature 551, 7681
表紙は、細胞の小胞体膜(灰色)をまたがるヒトペプチドローディング複合体(PLC)の構造である。PLCは、免疫応答の重要な要素であり、主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)分子へのウイルスなどの異物のペプチド断片の結合に関与する動的な複合体である。MHC-I分子が、ペプチド断片を人体の免疫細胞に提示し、侵入物に対する免疫系の抵抗が始まる。今回R Tampéたちは、クライオ(極低温)電子顕微鏡を用いてPLCの構造を明らかにし、複合体の編集モジュールがペプチド輸送体TAPの周りにどのように集まるか示している。さらに彼らは、MHC-Iへの抗原ペプチドの結合によってMHC-Iの構造が変化するため、安定なペプチド–MHC-I複合体の放出が促進され、免疫応答が始まることを見いだしている。この知見から、PLC、抗原プロセシング、MHC-Iを介した免疫が生じる仕組みの背後にある機構が垣間見えるようになってきた。
2017年11月23日号の Nature ハイライト
古生物学:耳の骨が1~2個多かった古代の滑空性哺乳類
微生物学:地球上の微生物多様性
遺伝子工学:一塩基編集技術の進展
構造生物学:80Sリボソームの修飾をマッピング
天文学:ペルセウス座銀河団に見られる太陽元素存在量
大気化学:雷雨の中で放射性同位体が生成される
有機化学:触媒が全てを担う
地球科学:深部マントルの低速度領域を鉄で解決する
がん免疫療法:量より質のネオアンチゲン
がん免疫療法:免疫療法に対する腫瘍応答を予測する