Nature ハイライト
地球科学:深部マントルの低速度領域を鉄で解決する
Nature 551, 7681
地球の核–マントル境界の上には大きな超低速度領域が存在し、そこを通過する地震波の速度はその周囲の物質を通過する場合より著しく遅い。超低速度領域の組成と起源はよく分かっていない。今回J Liuたちは、水素を含む過酸化鉄FeO2Hxを生成する高温高圧における鉄と水との反応について報告している。生成された過酸化鉄は、密度とポワソン比が比較的高く、音速が極めて遅い。著者たちは、最下部マントルで観測される超低速度領域の地震波特性と体積を、この反応で説明できる可能性があると示唆している。おそらく沈み込んだ含水鉱物によって運ばれた地球の海水の約10分の1の質量の水と、地球の核内に事実上無限に存在する鉄リザーバーとの間の反応を含め、このような反応はありそうなことと思われる。
2017年11月23日号の Nature ハイライト
古生物学:耳の骨が1~2個多かった古代の滑空性哺乳類
微生物学:地球上の微生物多様性
遺伝子工学:一塩基編集技術の進展
構造生物学:80Sリボソームの修飾をマッピング
天文学:ペルセウス座銀河団に見られる太陽元素存在量
大気化学:雷雨の中で放射性同位体が生成される
有機化学:触媒が全てを担う
地球科学:深部マントルの低速度領域を鉄で解決する
がん免疫療法:量より質のネオアンチゲン
がん免疫療法:免疫療法に対する腫瘍応答を予測する