Nature ハイライト
Cover Story:木星再訪:ジュノーミッションで得られた巨大ガス惑星の新たな描像
Nature 555, 7695
今週号には、木星を探査するジュノーミッションに基づく4本の論文が掲載されている。最初の論文で、A Adrianiたちは、木星の両極域の可視光観測と赤外線観測について報告し、どちらの極にも明瞭なサイクロンが存在することを見いだしている。表紙は、探査機ジュノーに搭載された計測器JIRAMで得られた画像で、木星の北極を中心とする1つのサイクロンとそれを取り囲む8つのサイクロンである。色は放射熱を示していて、黄色の部分は雲が薄く輝度温度は約−13°Cであるのに対し、暗赤色の部分は雲が最も厚く約−83°Cである。第二の論文では、L Iessたちがジュノーのドップラーデータを用いて、木星の重力場を調べ、大気の流れなどに起因する南北非対称性を明らかにしている。第三の論文では、Y Kaspiたちが重力の球面調和関数の奇数次成分を分析して、雲の高さから下へ約3000 km広がる大気のジェット気流を示し、木星の動的大気の質量はこの惑星の全質量の約1%であると結論付けている。第四の論文では、T Guillotたちが、木星は深さ約3000 km以下ではほぼ剛体として回転していることを示している。
2018年3月8日号の Nature ハイライト
材料科学:半導体と超伝導体をうまく組み合わせる
遺伝学:ゲノム解析から得られたビーカー文化の手掛かり
神経科学:渇きを知る
ナノスケール材料:分子と2D結晶の積層
地球科学:岩石の再循環を明らかにしたダイヤモンド内部の物質
人間行動学:協力の複雑さ
進化学:鳥類の種の豊富さで見る、山岳地帯の生物多様性
分子生物学:ガのpiRNA生合成経路はハエよりも単純
構造生物学:ドーパミンの珍しい結合様式