Nature ハイライト
分子生物学:ガのpiRNA生合成経路はハエよりも単純
Nature 555, 7695
転位が無制限に起こるとゲノムの安定性が低下するため、生殖系列ではpiRNA(PIWI-interacting RNA)がトランスポゾンを抑制している。塩見美喜子(東京大学)たちは今回、カイコガ(Bombyx mori)においてTrimmer(Trim)、Zucchini(Zuc)、Nibbler(Nbr)という、複数のpiRNA生合成因子の役割を調べた。ハエとは異なり、TrimやNbrはガではpiRNAの成熟に主な役割を担っていないようで、Zucは5′末端ではなく3′末端に作用することが分かった。これらの結果から、ガには、ハエで報告されているカノニカルなピンポン機構(piRNAを特異的に増幅し、活性を持つトランスポゾンを抑制する適応経路)を促進する装置が存在しないために、ガのpiRNA生合成経路はハエよりも単純であることが明らかになった。
2018年3月8日号の Nature ハイライト
材料科学:半導体と超伝導体をうまく組み合わせる
遺伝学:ゲノム解析から得られたビーカー文化の手掛かり
神経科学:渇きを知る
ナノスケール材料:分子と2D結晶の積層
地球科学:岩石の再循環を明らかにしたダイヤモンド内部の物質
人間行動学:協力の複雑さ
進化学:鳥類の種の豊富さで見る、山岳地帯の生物多様性
分子生物学:ガのpiRNA生合成経路はハエよりも単純
構造生物学:ドーパミンの珍しい結合様式