Nature ハイライト
遺伝学:ゲノム解析から得られたビーカー文化の手掛かり
Nature 555, 7695
鐘状ビーカーは、新石器時代の終わりにヨーロッパの西部から中央部に広く見られた特徴的な土器様式である。こうした土器を用いた「ビーカー文化」の起源およびそれがどのようにして広まったのかについて、以前の研究からは相反する結果が得られている。D Reichたちは今回、異なる136の遺跡に由来する、新石器時代、銅器時代および青銅器時代のヨーロッパ人400個体について、ゲノム規模のデータを提示している。このデータには、ビーカー文化と関連付けられた226個体が含まれている。これらのヨーロッパ人には高い遺伝的不均一性が見られ、ビーカー文化の広がりには文化伝播と移動の両方が重要な役割を果たしたとするモデルが裏付けられたが、これら2つの過程の相対的なバランスは地域によって異なっていた。Reichたちはまた別の論文で、紀元前1万2000~500年にヨーロッパ南東部およびその周辺地域で暮らしていた225個体のゲノム規模のDNAデータの解析についても報告している。以前のゲノムデータセットと組み合わせて解析を行うことにより、ヨーロッパにおける農耕の初期の広まりに関する既存のモデルが更新された。
2018年3月8日号の Nature ハイライト
材料科学:半導体と超伝導体をうまく組み合わせる
遺伝学:ゲノム解析から得られたビーカー文化の手掛かり
神経科学:渇きを知る
ナノスケール材料:分子と2D結晶の積層
地球科学:岩石の再循環を明らかにしたダイヤモンド内部の物質
人間行動学:協力の複雑さ
進化学:鳥類の種の豊富さで見る、山岳地帯の生物多様性
分子生物学:ガのpiRNA生合成経路はハエよりも単純
構造生物学:ドーパミンの珍しい結合様式