Nature ハイライト
Cover Story:生き抜く術:血糖値が高くても糖尿病にならずに成長するメキシコの洞窟魚
Nature 555, 7698
メキシカンテトラ(Astyanax mexicanus)の盲目の洞窟型個体が生息する暗い洞窟は、食物の極めて少ない極端な環境である。今回N RohnerとC Tabinたちは、この魚は、食物量が大きく変動する生活をする中で、驚くべき方法でこの極端な環境に適応したことを明らかにしている。この洞窟魚は、ヒトであれば重度の2型糖尿病を引き起こすと思われるインスリン受容体変異を持っているが、その結果生じる高い血糖値は悪影響を全く生じさせていないようであり、この魚は健康で寿命は正常である。著者たちは、この魚は、血糖の調節における代償機構を進化させたことで、困難な環境を生き抜くことができるのではないかと推測している。
2018年3月29日号の Nature ハイライト
量子物理学:シリコンにおける強い結合
化学:分子の作り方を自ら学ぶコンピューター
遺伝学:発達障害の調節性変異
微生物学:抗生物質ではない治療薬も、腸内細菌に対して抗生物質と同じ影響を及ぼす
天文学:問題の物質はどこにある?
量子物理学:シリコンベースのスピン量子プロセッサー
惑星科学:火星の海洋の年代を定める
感覚系:熱傷回避の裏で働く遺伝子トリオ
心臓学:渦巻きが心臓の危険な乱れの原因となる
代謝学:肥満マウスでは肝臓の酵素DPP4が脂肪組織に炎症を引き起こす