Nature ハイライト
化学:分子の作り方を自ら学ぶコンピューター
Nature 555, 7698
文献から自動的に情報を取り入れる化学反応データベースによって、合成目標分子をどんどん小さい構成要素に分割していくという化学合成計画が、この数十年で非常に容易に立てられるようになった。しかし、依然として人間がこうしたデータベースを手作業で検索して、最良の分子合成方法を見いださなければならず、多くの段階と選択が必要である。コンピュータープログラムに合成「規則」をエンコードすることによって、ある程度の自動化は達成されているが、この過程には多くの規則と巧妙さが関与するため時間がかかる。今回M Wallerたちは、化学合成計画の立案にディープニューラルネットワークを利用している。彼らは、アルゴリズムが「規則」を自ら学習して訓練セットに含まれていないさまざまな小分子の合成経路を予測できるよう、2015年以前に発表された実質的に全ての反応について訓練を行った。二重盲検試験では、熟練した化学者が、アルゴリズムによって見いだされた解と文献から得られた解を区別できなかった。
2018年3月29日号の Nature ハイライト
量子物理学:シリコンにおける強い結合
化学:分子の作り方を自ら学ぶコンピューター
遺伝学:発達障害の調節性変異
微生物学:抗生物質ではない治療薬も、腸内細菌に対して抗生物質と同じ影響を及ぼす
天文学:問題の物質はどこにある?
量子物理学:シリコンベースのスピン量子プロセッサー
惑星科学:火星の海洋の年代を定める
感覚系:熱傷回避の裏で働く遺伝子トリオ
心臓学:渦巻きが心臓の危険な乱れの原因となる
代謝学:肥満マウスでは肝臓の酵素DPP4が脂肪組織に炎症を引き起こす