Nature ハイライト
感覚系:熱傷回避の裏で働く遺伝子トリオ
Nature 555, 7698
多数のイオンチャネルが熱によって活性化され、その中にはTRPファミリーに属する複数のチャネルも含まれている。だが、こうしたTRPイオンチャネル遺伝子のうちの1つだけを欠くマウスは、急性の熱感知には全く異常がなかったり、軽度の異常を示すだけだったりする。今回T Voetsたちは、イオンチャネルのTRPA1、TRPV1、TRPM3をコードする3つの遺伝子全ての発現が阻害されている三重ノックアウトマウスは、有害な熱に曝露されても痛みを感知できないが、侵害的な低温刺激や機械刺激は感知でき、適温への選好性も維持されていることを示している。しかし、二重ノックアウトマウスでは予想される熱応答が維持されており、この疼痛知覚系には高度の重複性があると考えられる。熱傷回避に関わるこの知覚系では、障害が発生しても系の機能停止を防ぐ仕組みが確保されているのだろう。
2018年3月29日号の Nature ハイライト
量子物理学:シリコンにおける強い結合
化学:分子の作り方を自ら学ぶコンピューター
遺伝学:発達障害の調節性変異
微生物学:抗生物質ではない治療薬も、腸内細菌に対して抗生物質と同じ影響を及ぼす
天文学:問題の物質はどこにある?
量子物理学:シリコンベースのスピン量子プロセッサー
惑星科学:火星の海洋の年代を定める
感覚系:熱傷回避の裏で働く遺伝子トリオ
心臓学:渦巻きが心臓の危険な乱れの原因となる
代謝学:肥満マウスでは肝臓の酵素DPP4が脂肪組織に炎症を引き起こす