Nature ハイライト
素粒子物理学:厳しい制約を与える弱荷
Nature 557, 7704
素粒子の弱荷は、電荷ほど知られていないかもしれないが、標準模型を検証し、標準模型の理論的枠組みを超えるあらゆる物理を探索するのに電荷と同じくらい重要である。陽子の場合、弱荷は、中性の電弱力を介して陽子が他の素粒子と相互作用する強さを決める。陽子の弱荷は実験で直接測定されてはいないが、原子核からのパリティを破る偏極電子–陽子散乱(PVES)の観測から決定することができる。今回、トーマスジェファーソン国立加速器施設のQweakコラボレーションが、前例のない精度(不確かさの合計が9.3 ppb)で、PVESの非対称性を新たに測定した結果を報告している。PVESの非対称性を知ることで、陽子の弱荷の値を推定でき、その値が標準模型と非常によく一致していることが分かった。さらに著者たちは、この弱荷の値に基づいて、標準模型では予測されない仮想的な粒子の質量に対して数テラ電子ボルトスケールの制約を課している。
2018年5月10日号の Nature ハイライト
神経科学:パーキンソン病モデルを再評価する
神経科学:怯えたマウスを逃げ出させる脳回路
構造生物学:反応中のヒトテロメラーゼの構造
宇宙物理学:磁気再結合の決定的証拠
素粒子物理学:厳しい制約を与える弱荷
材料科学:マルチ燃料型セラミック燃料電池の未来
進化学:フィリピンにおけるヒト族の最古の証拠
幹細胞:分化転換による胆管系の構築
微生物学:Spaidはショウジョウバエの雄を殺す
構造生物学:ニコチン性受容体の集合状態