Nature ハイライト
構造生物学:ニコチン性受容体の集合状態
Nature 557, 7704
ニコチン性アセチルコリン受容体は神経伝達物質依存性のイオンチャネルで、神経筋接合部での迅速な化学的神経伝達に関わっており、中枢神経系でのシグナル伝達に多様な役割を担っている。ニコチン性アセチルコリン受容体などのリガンド依存性五量体イオンチャネルの多くはヘテロオリゴマーである。これらの構造は大まかに見れば似ているが、機能の方はさまざまに異なっている。R Hibbsたちは今回、αとβの2種類のサブユニットからなるが、サブユニットの量比が異なるヘテロマーである2つのアセチルコリン受容体(2α:3βと3α:2β)について、ニコチンと複合体を形成した状態の構造をクライオ(極低温)電子顕微鏡法を用いて明らかにした。量比が異なるこれらの受容体は同一の試料から得られており、β2サブユニット特異的なFab抗体断片を用いて構造が区別された。今回の研究によって、サブユニットの集合状態、透過性、またこのクラスの受容体のサブユニット界面で起こるニコチン結合の様式の相異についての構造情報が得られただけでなく、他のリガンド依存性五量体チャネルについて同様の研究を行う際の手順も示された。
2018年5月10日号の Nature ハイライト
神経科学:パーキンソン病モデルを再評価する
神経科学:怯えたマウスを逃げ出させる脳回路
構造生物学:反応中のヒトテロメラーゼの構造
宇宙物理学:磁気再結合の決定的証拠
素粒子物理学:厳しい制約を与える弱荷
材料科学:マルチ燃料型セラミック燃料電池の未来
進化学:フィリピンにおけるヒト族の最古の証拠
幹細胞:分化転換による胆管系の構築
微生物学:Spaidはショウジョウバエの雄を殺す
構造生物学:ニコチン性受容体の集合状態