Nature ハイライト
細胞生物学:鞭毛内輸送装置の形成過程を解き明かす
Nature 557, 7705
繊毛はほとんどの細胞の表面から伸びていて、細胞の運動や発生などの多数の過程に関わっている。細胞構造の1つである繊毛はほとんどの場合、鞭毛内輸送(IFT)装置の助けによって形成される。しかし、この装置には20以上の成分が含まれており、これらが集合して輸送に関わる「IFT列車」を構成しているため、装置が機能する仕組みの解明は難しかった。今回Z Öktenたちは、in vitroでの再構成という手法をとることにより、微小管に沿って移動できる機能を持ったIFT複合体の組み立てに成功した。この複合体は線虫の一種であるCaenorhabditis elegansの感覚繊毛にあるIFT装置を基にしていて、装置がモータータンパク質であるキネシン2を動員し、活性化する仕組みについての手掛かりが得られた。Öktenたちのこのモデルは、これからIFTや繊毛形成の解析をする際に大いに役に立つだろう。
2018年5月17日号の Nature ハイライト
集団遺伝学:古代ゲノムから明らかになった人類史とヒト肝炎の手掛かり
細胞再プログラム化:ニューロン再プログラム化ツールボックスを拡張
構造生物学:新規なアレスチン活性化機構
細胞生物学:鞭毛内輸送装置の形成過程を解き明かす
天文学:ビッグバンの2億5000万年後に始まった星形成
物性物理学:ファンデルワールス・ヘテロ構造体に圧力をかける
大気科学:オゾン層を破壊する化学物質の復活
計算論的神経科学:近道を探す神経ネットワーク
細胞生物学:停止したリボソームからペプチド鎖を遊離させる