Nature ハイライト
細胞生物学:停止したリボソームからペプチド鎖を遊離させる
Nature 557, 7705
真核生物では、タンパク質の合成と分解は厳密に調節されている。細胞は立ち往生したリボソーム(タンパク質合成が停止している)を認識すると、これらのリボソームを構成要素である40Sサブユニットと60Sサブユニットに解離させる。この60Sサブユニットの触媒中心にはtRNAに結合した新生ペプチド鎖が残っており、この新生ペプチド鎖は、60Sサブユニットが新しいリボソームで再利用される前にリボソーム品質管理複合体によって取り除かれなければならない。しかし、この新生鎖を分解するには、tRNAから切り離す必要がある。新生鎖の凝集を避けるにはこの段階が重要で、凝集が起こると酵母ではタンパク質毒性ストレスに、マウスでは神経変性につながることがある。R Deshaiesたちは今回、出芽酵母のVms1がペプチジルtRNAヒドロラーゼであることを明らかにしている。Vms1は、タンパク質合成の完了後にタンパク質をリボソームから遊離させる真核生物の終結因子1と同じように作用するものの、これらの2つの酵素は別のクレードに属している。
2018年5月17日号の Nature ハイライト
集団遺伝学:古代ゲノムから明らかになった人類史とヒト肝炎の手掛かり
細胞再プログラム化:ニューロン再プログラム化ツールボックスを拡張
構造生物学:新規なアレスチン活性化機構
細胞生物学:鞭毛内輸送装置の形成過程を解き明かす
天文学:ビッグバンの2億5000万年後に始まった星形成
物性物理学:ファンデルワールス・ヘテロ構造体に圧力をかける
大気科学:オゾン層を破壊する化学物質の復活
計算論的神経科学:近道を探す神経ネットワーク
細胞生物学:停止したリボソームからペプチド鎖を遊離させる