Volume 557 Number 7705

Editorials

成体幹細胞を使う治療法の研究も、胚性幹細胞の場合と同様、慎重かつ着実に進めるべきだ。

A slow road for stem cells p.279

doi: 10.1038/d41586-018-05160-7

研究機関は、協力的で生産的かつ厳格な研究環境が実現できるよう、さまざまな方面から支援すべきだ。

Research institutions must put the health of labs first p.279

doi: 10.1038/d41586-018-05159-0

産業界の連係と新しい技術によって、環境に優しいアルミニウム生産法が期待されている。

Aluminium producers promise a cleaner smelting pot p.280

doi: 10.1038/d41586-018-05158-1

News

米国トランプ政権のイラン核合意からの離脱は、科学研究の国際協力の妨げに。

How science will suffer as US pulls out of Iran nuclear deal p.287

doi: 10.1038/d41586-018-05123-y

不正行為で東京大学を退職した渡邊嘉典氏が、英国フランシス・クリック研究所で再教育を。

Sacked Japanese biologist gets chance to retrain at Crick institute p.288

doi: 10.1038/d41586-018-05139-4

オーストラリアが、科学予算を大幅増へ。

Australian budget delivers for science facilities and medical research p.290

doi: 10.1038/d41586-018-05119-8

ヨーロッパ各地で、使われてないダムの撤去計画が予定されており、河川の生態系回復に期待が。

Europe is demolishing its dams to restore ecosystems p.290

doi: 10.1038/d41586-018-05182-1

Wikipediaで最も多く引用された学術論文が明らかに。

Wikipedia’s top-cited scholarly articles — revealed p.291

doi: 10.1038/d41586-018-05161-6

News Features

健全な研究室を作り上げるには

How to grow a healthy lab p.293

建設的で厳密な研究を、楽しく行うことのできる研究グループを育てるにはどうするかを考える。

doi: 10.1038/d41586-018-05142-9

研究室のリーダーシップの問題

Some hard numbers on science’s leadership problems p.294

3200人の研究者を対象に行ったアンケート調査から、世界中の研究グループに、表面化していない問題の芽があることが明らかになった。

doi: 10.1038/d41586-018-05143-8

News & Views

天文学:初期の星形成が見つかった

Astronomy: Distant galaxy formed stars only 250 million years after the Big Bang p.312

最初期の銀河の星形成活動についてはほとんど分かっていない。今回、非常に遠い銀河の観測から、宇宙が現在の年齢のたった2%だった頃のそうした活動を示す証拠が得られた。

doi: 10.1038/d41586-018-05114-z

計算論的神経科学:進路決定する脳のコードをまねるAI

Computational neuroscience: AI mimics brain codes for navigation p.313

今回、深層学習と呼ばれる人工知能技術を用いて、空間ナビゲーションがモデル化された。するとこのシステムは、哺乳類の脳に見られるグリッド細胞に似た空間表現を発達させた。

doi: 10.1038/d41586-018-04992-7

海洋学:気候変動と海洋の酸素

Oceanography: Will ocean zones with low oxygen levels expand or shrink? p.314

コンピューターシミュレーションによって、溶存酸素濃度の低い海洋の面積は、地球温暖化に応答して今後拡大するが、その後縮小することが示された。今回の結果は、こうした挙動に関与する過程は精密にバランスがとれたものであるとする新たな描像を裏付けるものである。

doi: 10.1038/d41586-018-05034-y

細胞再プログラム化:ニューロンが生まれる経路は1つではない

Cell reprogramming: More than one way to induce a neuron p.316

今回、76対の転写因子によって、マウスの結合組織細胞を、ニューロンに似たアイデンティティーを持つようにすることができた。この発見によって、ニューロンの発生のみならず細胞の再プログラム化についての知見も得られた。

doi: 10.1038/d41586-018-04978-5

大気科学:オゾン層破壊物質排出量の増加

Atmospheric science: Evidence of illegal emissions of ozone-depleting chemicals p.317

クロロフルオロカーボンは、成層圏のオゾン層を破壊する主要な化学物質である。今回、こうした化合物を制限する国際ルールにもかかわらず、排出量が再び増加していることが明らかになった。

doi: 10.1038/d41586-018-05110-3

構造生物学:アレスチン活性化の興味深い眺め

Structural biology: Activation mechanisms for a universal signalling protein p.318

今回、コンピューターによる研究と生化学的研究によって、Gタンパク質共役受容体によってアレスチンタンパク質が活性化される機構が明らかになり、創薬へ広い道が開かれる可能性が出てきた。

doi: 10.1038/d41586-018-04977-6

Articles

集団遺伝学:ユーラシアのステップ全域に由来する137例のヒト古代ゲノム

137 ancient human genomes from across the Eurasian steppes p.369

doi: 10.1038/s41586-018-0094-2

細胞再プログラム化:ニューロンのアイデンティティーを再プログラム化する多様なコード

Diverse reprogramming codes for neuronal identity p.375

doi: 10.1038/s41586-018-0103-5

構造生物学:βアレスチンのGPCRによる触媒的活性化

Catalytic activation of β-arrestin by GPCRs p.381

doi: 10.1038/s41586-018-0079-1

細胞生物学:再構築によって明らかになった鞭毛内輸送のためのモーター活性化

Reconstitution reveals motor activation for intraflagellar transport p.387

doi: 10.1038/s41586-018-0105-3

Letters

天文学:ビッグバンから2億5000万年後の星形成の始まり

The onset of star formation 250 million years after the Big Bang p.392

doi: 10.1038/s41586-018-0117-z

素粒子物理学:陽子内部の圧力分布

The pressure distribution inside the proton p.396

doi: 10.1038/s41586-018-0060-z

量子物理学:量子鍵配送におけるレート–距離制限を量子中継なしで克服する

Overcoming the rate–distance limit of quantum key distribution without quantum repeaters p.400

doi: 10.1038/s41586-018-0066-6

物性物理学:圧力によるグラフェンモアレ超格子の動的バンド構造チューニング

Dynamic band-structure tuning of graphene moiré superlattices with pressure p.404

doi: 10.1038/s41586-018-0107-1

材料科学:垂直配向させた液晶MXeneの膜厚に依存しないキャパシタンス

Thickness-independent capacitance of vertically aligned liquid-crystalline MXenes p.409

doi: 10.1038/s41586-018-0109-z

大気科学:オゾン層を破壊するトリクロロフルオロメタンの全球排出量の予想外の持続的増加

An unexpected and persistent increase in global emissions of ozone-depleting CFC-11 p.413

doi: 10.1038/s41586-018-0106-2

社会人類学:青銅器時代から中世の古代B型肝炎ウイルス

Ancient hepatitis B viruses from the Bronze Age to the Medieval period p.418

doi: 10.1038/s41586-018-0097-z

ゲノミクス:コムギのAサブゲノムの祖先ゲノムを持つウラルツコムギのゲノム塩基配列

Genome sequence of the progenitor of wheat A subgenome Triticum urartu OPEN p.424

doi: 10.1038/s41586-018-0108-0

計算論的神経科学:人工エージェントにおけるグリッド様表現を用いたベクトルベースのナビゲーション

Vector-based navigation using grid-like representations in artificial agents p.429

doi: 10.1038/s41586-018-0102-6

微生物学:排他的な代謝ニッチが腸内微生物相での細菌株の生着を可能にする

An exclusive metabolic niche enables strain engraftment in the gut microbiota p.434

doi: 10.1038/s41586-018-0092-4

発生生物学:NOTCH1とNRG1による心臓ゼリー動態の制御が肉柱形成の構築プランを決める

Control of cardiac jelly dynamics by NOTCH1 and NRG1 defines the building plan for trabeculation p.439

doi: 10.1038/s41586-018-0110-6

細胞生物学:ペプチジルtRNAヒドロラーゼであるVms1とANKZF1が、停止したリボソームから新生鎖を遊離させる

Vms1 and ANKZF1 peptidyl-tRNA hydrolases release nascent chains from stalled ribosomes p.446

doi: 10.1038/s41586-018-0022-5

構造生物学:GPCRを介するアレスチン活性化の分子機構

Molecular mechanism of GPCR-mediated arrestin activation p.452

doi: 10.1038/s41586-018-0077-3

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