Nature ハイライト
Cover Story:深まる危機:サンゴ礁の成長速度が海水準の上昇に追い付かなくなってきている
Nature 558, 7710
熱帯サンゴ礁の成長は、サンゴ礁の構造と生息地の多様性を維持するとともに、海岸線を波浪への露出や浸水のリスクから守るのに不可欠である。しかし、今回C Perryたちは、こうした重要な機能が、サンゴ礁の健全性の低下と海水準の上昇に伴い危機に瀕していることを明らかにしている。成長が衰えるとサンゴ礁の構造が縮小し、水位が上がるとサンゴ礁の水深が深くなる。これは、こうした変化を相殺するには、サンゴ礁は垂直方向に成長しなければならないことを意味している。著者たちは、熱帯西大西洋とインド洋のサンゴ礁の成長速度を解析して、今のところサンゴ礁は変化に対応しているが、気候変動に対して予測される中程度や厳しい海水準上昇シナリオの下では、サンゴ礁の生態系が変化するため、いずれの海域でも成長が変化に追い付くことのできるサンゴ礁はわずかであることを見いだしている。その結果として、低平な海岸線や小さな島国が、海岸保全に寄与する重要な要素を失う可能性が示唆された。
2018年6月21日号の Nature ハイライト
古生物学:新たな真獣類化石と系統発生から明らかになった有胎盤類と有袋類の分岐
構造生物学:ミトコンドリア上の受容体へのDRP1結合の構造基盤
天文学:ミッシングバリオンの発見
ナノ科学:鏡面散乱による驚異的な気体輸送
ナノスケール材料:二次元ヘテロ界面に挿入されたリチウムの測定
神経科学:睡眠の仕組み
DNA損傷:太陽光を遮蔽して造血幹細胞を守る
幹細胞:大腸の幹細胞ニッチを明らかにする
構造生物学:アセチルCoAカルボキシラーゼのアロステリック調節