Nature ハイライト

Cover Story:深まる危機:サンゴ礁の成長速度が海水準の上昇に追い付かなくなってきている

Nature 558, 7710

パプアニューギニア、ニューアイルランド州のサンゴ礁の礁嶺部。こうした浅瀬のサンゴ礁は、海岸域への波の到達の制限において極めて重要な役割を果たしている。
パプアニューギニア、ニューアイルランド州のサンゴ礁の礁嶺部。こうした浅瀬のサンゴ礁は、海岸域への波の到達の制限において極めて重要な役割を果たしている。 | 拡大する

Credit: Tane Sinclair-Taylor

熱帯サンゴ礁の成長は、サンゴ礁の構造と生息地の多様性を維持するとともに、海岸線を波浪への露出や浸水のリスクから守るのに不可欠である。しかし、今回C Perryたちは、こうした重要な機能が、サンゴ礁の健全性の低下と海水準の上昇に伴い危機に瀕していることを明らかにしている。成長が衰えるとサンゴ礁の構造が縮小し、水位が上がるとサンゴ礁の水深が深くなる。これは、こうした変化を相殺するには、サンゴ礁は垂直方向に成長しなければならないことを意味している。著者たちは、熱帯西大西洋とインド洋のサンゴ礁の成長速度を解析して、今のところサンゴ礁は変化に対応しているが、気候変動に対して予測される中程度や厳しい海水準上昇シナリオの下では、サンゴ礁の生態系が変化するため、いずれの海域でも成長が変化に追い付くことのできるサンゴ礁はわずかであることを見いだしている。その結果として、低平な海岸線や小さな島国が、海岸保全に寄与する重要な要素を失う可能性が示唆された。

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