Nature ハイライト
構造生物学:アセチルCoAカルボキシラーゼのアロステリック調節
Nature 558, 7710
アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)は、脂肪酸生合成の重要な段階の1つであるアセチルCoAからマロニルCoAへのカルボキシル化を触媒する。ACCは、複数の肥満関連疾患で重要な役割を果たしており、また悪性腫瘍では過剰な活性化が見られる。ヒトACCのアイソフォームの1つであるACC1はフィラメント形成によって調節されているが、これが構造研究をさらに難しいものにしている。今回T Maierたちは、クライオ(極低温)電子顕微鏡を使い、ACC1フィラメントについて、クエン酸と結合した活性な状態のコンホメーションと、腫瘍抑制因子でACC1の阻害タンパク質でもあるBRCA1と複合体を形成した不活性な状態のコンホメーションを明らかにした。今回の知見から、多量体形成によるACC1活性のアロステリック調節機構のモデルが得られた。今回得られた多量体がin vivoで形成される多量体と一致するかどうかはまだ不明だが、この研究は、ヒトACC1を薬剤標的とする方法を示唆している。
2018年6月21日号の Nature ハイライト
古生物学:新たな真獣類化石と系統発生から明らかになった有胎盤類と有袋類の分岐
構造生物学:ミトコンドリア上の受容体へのDRP1結合の構造基盤
天文学:ミッシングバリオンの発見
ナノ科学:鏡面散乱による驚異的な気体輸送
ナノスケール材料:二次元ヘテロ界面に挿入されたリチウムの測定
神経科学:睡眠の仕組み
DNA損傷:太陽光を遮蔽して造血幹細胞を守る
幹細胞:大腸の幹細胞ニッチを明らかにする
構造生物学:アセチルCoAカルボキシラーゼのアロステリック調節