Nature ハイライト

構造生物学:アセチルCoAカルボキシラーゼのアロステリック調節

Nature 558, 7710

アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)は、脂肪酸生合成の重要な段階の1つであるアセチルCoAからマロニルCoAへのカルボキシル化を触媒する。ACCは、複数の肥満関連疾患で重要な役割を果たしており、また悪性腫瘍では過剰な活性化が見られる。ヒトACCのアイソフォームの1つであるACC1はフィラメント形成によって調節されているが、これが構造研究をさらに難しいものにしている。今回T Maierたちは、クライオ(極低温)電子顕微鏡を使い、ACC1フィラメントについて、クエン酸と結合した活性な状態のコンホメーションと、腫瘍抑制因子でACC1の阻害タンパク質でもあるBRCA1と複合体を形成した不活性な状態のコンホメーションを明らかにした。今回の知見から、多量体形成によるACC1活性のアロステリック調節機構のモデルが得られた。今回得られた多量体がin vivoで形成される多量体と一致するかどうかはまだ不明だが、この研究は、ヒトACC1を薬剤標的とする方法を示唆している。

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